62号系統

62号系統

市内の中心部にあるJRの駅前から、市の外れまで行くローカル路線の終車を担当した時の話だ。

途中にもう1ヶ所JRの駅を経由するのだが、大多数の乗客はそこ迄で降車してしまう。
終点まで残りのバス停は4ヶ所(5ヶ所目は終点)、乗っている乗客は3人だけとなった。
一番前の左側で前扉の所に中年の男性が1人、中程の右側で中扉の所に若い女性が1人
一番後ろの中央で後扉の所に若い男性が1人と云う状況だった。

お盆で夜になっても30度位ある蒸し暑い日なので、出来るだけ扉の開閉を省略し
車内の温度を上げずに帰りたい。

残り3ヶ所目のバス停で一番前の男性が降車するので、中扉だけを開けて降ろす。
残り2ヶ所目のバス停で一番後の男性が降車するので、後扉だけを開けて降ろす。
扉を閉めるのでルームミラーを見ると、中央の女性はまだ乗車している。
残りは1ヶ所、最後のバス停で降りるにせよ終点で降りるにせよ中扉だけで済むと思って発車。

最後のバス停が近付くが降車するボタン合図が無い、と云う事は終点までか・・・
人家も無い様な終点で降りるとは、根性のある女性だなぁと思っていたのだが
終点に到着して肝を冷やしたのはオイラだった・・・

扉を開ける前にルームミラーを見たら、若い女性が乗っていないのだ!
何で? 何処へ行った?

取り敢えず駐車ブレーキを引き、扉を開けずに運転席から車内へ行く。
女性が座っていた座席を見るが、誰も居ない。
後ろから全席をくまなく調べたが、やはり誰も居ない。

担当していた市バスの三扉車は、車内灯が直列8本の貫通型蛍光灯照明で明るい・・・が
普通の蛍光灯で照度が低いのと、メンテナンス不足で虫の息の状態の蛍光灯が何本かある。
それでも、見逃すはずがない・・・

ゲロゲロ&アンビリバボー

もう確定じゃん、最後まで乗っていたのは人間じゃないよね?
通常は終点から車庫まで回送なので、車内灯を点ける必要もないし点ける奴は誰もいないが
この時ばかりは全灯(車内灯・方向幕灯・系統幕灯)点け放しで回送したよ。

案の定、入庫したら発車や点呼から「どうかしたのか?」と言われた。
今迄の状況を説明すると「昔は墓地だったからなぁ」と教えてくれた。

要らん情報を有り難う・・・(ToT)

【追記】

この出来事以来、車内の蛍光灯8本全てと方向幕の蛍光灯6本全てを三波長形昼光色に取り替えて
同型バスの倍以上の明るさを実現しました。
当局は、蛍光灯代が自腹ならOKと以外にも簡単に許可をくれました。
乗客からは「とても明るくて快適」と評判が良かったのですが
その後に車内の蛍光灯を取り替える車両は、現在も出現していません。
市場価格で3倍以上の値段の蛍光灯は、過剰サービスになる恐れがあるそうです。
(恐らく方便で、予算の問題だと思いますよ)