乗務員専用宿

この仕事をしてて良かったなぁ…と思う事がよくある。
高級旅館や高級ホテルに宿泊出来る時などもそうだ。

運転手やガイドの食事や宿泊は、旅行会社が支払ってくれるので基本的に自腹は無いが
最終的にはツアー代金に跳ね返る事になるので、お客さん全員に感謝しなければならない。

だが、余り高級な所だと業界用語で「追い出し」の憂き目に遭う。
この追い出しとは旅行会社が経費圧縮の為に、客の宿泊先と乗務員の宿泊先を変える事だ。
客は高級な宿泊先で降ろして、運転手とガイドは乗務員の専用宿までバスごと回送して泊まる。

元々は温泉宿として営業していた旅館やホテルなのだが、色々な事情があり一般客を泊める事が
出来なくなったとか、誰も来なくなり経営が成り立たなくなった宿が乗務員専用宿になる事が多い。

当然、真っ当な宿としては営業出来ない理由があり怪奇現象に遭遇する事も少なくない。

風呂場でザー … カコン、ザー … カコン、と音がするので先客が居るのかと思って入って見ると
誰も居ない・・・ オーマイゴッド!
まぁ一応、温泉だしオイラの大好きな貸切だしと思ってのんびり入浴して
脱衣所へ出ると、ザー … カコン、ザー … カコン、と再び音が出始めるのだ。
廊下を歩く足音や無人で動くエレベーターなど、気になり出すと寝られない。

そんな怪奇現象も問題だが、食事も切実な問題なのだ。
ツアー客ではないのでまともな食事は出ない、運が良くて冷えた割子弁当(味噌汁なし)。
運が悪いと何も無い、付近で食事するかコンビニで弁当を買って宿へ戻るかだ。
だが付近に何も無い場合が多い、何度も行っている所なら途中で弁当を買う事も出来るのだが・・・
中には、宿に自動販売機すら無い所もあり「ここは廃墟か?」と言った同僚もいた。

追い出しを食らわず、客と同じ所に宿泊出来るのは非常に有り難い。