丸根山公園

今から約30年も前の出来事である。

まだ運転免許を取ったばかりで、車を運転する事が楽しかった頃
夏の風物詩と言えば肝試しだろと、友人2人と丑三つ時に定光寺へ向かった。

当時、名古屋市内の小・中学校の遠足の定番と言えば定光寺で、一般の観光客もそこそこあり
今は亡き、国際観光旅館の千歳楼が繁盛していた頃でもある。

だが昼に行くのと真夜中にいくのでは、全く雰囲気が異なる。
それもその筈、定光寺は知る人ぞ知る自殺の名所でもあるのだ。
しかも我々が行ったのは、丸根山公園と言う山中に造られた不気味な公園。
勿論、昼間に行く分には何の問題も無く、綺麗な景色が楽しめる。

メンバーもオイラと仏壇屋の息子とお坊さん(全員同級生)と云うのも
今時なかなか揃わない組み合わせだ。

丸根山公園の駐車場に車を止め、山中の崖を利用して造られた公園まで遊歩道を歩いて行く。
勿論、遊歩道は車両乗入禁止で入口と出口の両方に頑丈な車止めとチェーンがある。
夜に人が来る事を想定していないのか、駐車場や公園内に照明等は一切無く闇夜だ。
唯一、懐中電灯だけが頼りなのだが、今の様なLEDライトではないのでそんなに明るくもない。

そんな時、坊主が女性の叫び声がすると言い出し、仏壇屋も聞こえたと言う。
オイラには全く何も聞こえないのだが、二人がヤバそうだから帰ると言い出すので
仕方無く元来た道を引き返していると、公園側の車止めの所に車のヘッドライトが点灯している。
何で?明らかに変だ、公園は山中の崖を利用して造られた入口も出口も一箇所の公園。
まして車が出て来れる道など、あろう筈もない。

流石にこれはマズイぞと思い、三人で仏壇屋の車までダッシュで逃げると
そのヘッドライトは車止めなど無かったかの如く、我々を追い掛けて来る。
辛うじて仏壇屋のローレルに逃げ込み、そのヘッドライトを見るとブルーバードの4ドアで
赤と黒のツートーン車。
しかも4人乗車で我々の車の横を通り過ぎて行く。

その瞬間、車止めを擦り抜けて来た事など忘れてしまい、ブルーバードを逆に追い掛け始めたのだ。
仏壇屋の運転で追い掛けているのだが、山道でカーブも多く中々差が縮まらない。
勾配もきつく、スピードメーターを見ると何と80kmオーバーだ!
「おい、何てスピードだ、死ぬぞ!」と言った途端
目の前のブルーバードが、まるでテレビの特撮みたいに透明になって消えてしまった。

アンビリバボー、車ごと出て来た幽霊だったのか・・・
恐らく、乗っていた4人も生きた人間ではあるまい。

あの時、仏壇屋にスピードを注意しなければ
我々3人はブルーバードの道連れになっていたかも知れない。

【追記】

現在も丸根山公園は健在ですが、駐車場には森林交流館と云う施設が出来た為
当時の面影は余り残っていません。
平成25年8月8日に現在の丸根山公園を撮影して来ました。