真冬の怪談

昔から、怪談は夏の風物詩と相場は決まっている。
しかし現実には霊と季節は関係無い。

貸切観光で回送が遠かった為、入庫が遅くなり午前様になった時の話。
ハイシーズンでもないのに翌日の出庫が午前6時だ。
これは帰って寝るよりも仮眠室で泊まった方が楽だなぁ、と思い
近所のスーパー銭湯で一風呂浴びて車庫に泊まる事にした。

風呂から帰って来て、誰も居ない休憩室でコーラを飲んで一服していると
事務所の方から足音が近付いて来る。
もう運転手は誰も残って居ないし、ガイドも寮に引っ込んだ筈だ。

まぁ、誰も居ないとは云え、全くの無人では無い。
当直の発車係りが一人泊まっている、今日の当直は井上竜夫ソックリの●●さん。
歳も歳なので、最近は運転よりも事務職や当直が多い。

だが足音が違う、ハイヒールで歩いている様な足音なのだ。
まさか竜爺が夜中になると女装でもするのか?
それはそれで怖い物があるが・・・

すると見慣れないガイドが一人、休憩室の前を黙って通り過ぎて行った。
車庫の一番奥に事務所棟があり、その横並びに休憩室と仮眠室がある。
更にその奥には廃墟みたいな部品庫があり、見慣れないガイドはそこへ行く。

現在、午前2時を少し回ったところだ。
我社のと少し違う制服を着ているので部外者か?
それにしてもこんな真夜中に、部品庫に何の用事があるのだろう。

不思議に思ったのと、何者かを確かめないと枕を高くして眠れないので
後を追い掛ける事にした。

休憩室から出た所で、部品庫に入っていく姿は確認した。
だが、入口まで行って見ると建物の何処にも明かりが点いていない。
玄関に鍵は掛けていないので、恐らく内部に入ったと思われる。
通路はそこで行き止まりだし、左手は部品庫の建物(玄関もある)
右手は有蓋車庫の壁で隠れる所は無い。

真っ暗なので携帯のライトを頼りに、中に入って電灯のスイッチを探す。
次々とスイッチを点灯させて、部品庫の1階は煌々と明るくなった。
何の建物だったのか聞いた事が無いので知らないが、やたら広い。

1階には見当たらない・・・と云う事は2階か?
で2階に上がって驚いた、まるで何処かの木造アパートだ。
廊下の電灯を付けて各部屋の扉を調べるが、鍵が掛けてあり開かない。
1階と2階のトイレにも誰も居ない、何か嫌な雰囲気もある。
捜索は止めて撤収! 竜爺を起こして報告だ。

だが事情を説明したら顔色を変えて、仮眠室ではなく当直室で寝ろと言う。
確かに仮眠室は部品庫に近いが、何でまた?
竜爺の尋常でない驚き様に、素直に従う事にした。

結果、どうも幽霊を見た・・・らしい。

もともと部品庫はガイドの寮だったそうだ。
名目上は新しい3階建ての寮を建設したので、転用したと云う事だが
現役の時はちょくちょく出ていたらしい。
部品庫になってからは、目撃例が無くなり安心していたそうだ。

オイラが見たガイドの制服や人相風体を言うと、それは昔の制服だとの事。
しかしそれ以上の事は教えてくれない・・・
まぁ、昔の制服姿で丑三つ時に出て来るとなれば大体の想像は付く。

でも幽霊にしては足が有ったぞ、しかも靴音を立てて歩いていたぞ。
それに体も半透明でなく、生きた人間と区別は付かなかったなぁ。
今時、頭に三角の布を付けて半透明で足が無いのは流行らないのかも・・・

【追記】
現在は別の会社の敷地となり新しいビルが建設されて、当時の物は何も残っていません。
霊能力者の方によると、波長が合うと見えたり聞こえたりするそうです。
懐かしい昔のブラウン管テレビに例えると・・・
全く波長が合わない・・・画面が砂嵐 ⇒ 何も見えないし音も聞こえない
少し波長が合う・・・・・・横縞の画面 ⇒ 何も見えないが音は聞こえる
かなり波長が合う・・・・・白黒の画面 ⇒ モノクロで見えて音が聞こえる
完全に波長が合う・・・・・カラー画面 ⇒ 総天然色で見えて音が聞こえる

今でも疑問に思うのが、話掛けたら返事はするの?
もし肩を叩くなどしたら、実体の無い幽霊に触れるの?
体験した事のある方は、結果を教えて下さい。m(_ _)m

車庫跡は市の環境事業局に転用後、更地になり現在は別の企業がビルを建設して、当時の名残は何もありません。
Googie のストリートビューは閉鎖後の状態を記録していましたので、画像を拝借させて頂きました。
各画像はカーソルONで建物配置が表示されます。

車庫正面
南東角より
事務所棟と部品庫
足音の経路
南西角より
部品庫の裏側